まさに MetaHuman にとって大きな節目となるアップデートです。画期的なデジタルヒューマン ツール セット「MetaHuman」が、ついに早期アクセスを終了し、正式リリースとなりました。今回の MetaHuman 5.6 アップデートでは、ライセンスや統合機能が大幅に拡充され、MetaHuman の活用範囲が劇的に広がっています。加えて、全体的な機能強化も多数盛り込まれており、これまで以上にパワフルで柔軟なキャラクター制作が可能になりました。
Unreal Engine に統合された MetaHuman Creator では、顔、ボディ、衣装にわたる表現力と制作ワークフローがさらに進化しました。
MetaHuman Animator にも大幅なアップデートが加えられ、あらゆるカメラや音声ソースから、リアルタイムでアニメーションを生成できるようになっています。
詳細を見る前に、世界中の才能のある開発者がMetaHuman で制作している素晴らしい作品のいくつかを見てみましょう。
MetaHuman Creator
Unreal Engine 上で MetaHuman の制作が可能に
ご紹介したとおり、MetaHuman Creator は Unreal Engine に統合され、これまで寄せられていた多くの要望に応えるアップデートとなっています。インスタンスの起動やセッション時間の制限に煩わされることはもうありません。エクスポート作業も不要となり、すばやいアセンブリ手順で反復作業が格段に効率化されました。
また、MetaHuman Creator、MetaHuman Animator、Mesh to MetaHuman が 1 つのアプリケーションに統合されたことで、キャラクター制作ワークフローが一段とシンプルになりました。加えて、ローカルでのアセット管理にも柔軟性が増し、スタジオ単位のパイプライン運用にも最適です。
さらに、MetaHuman Creator のソースコード全体へのアクセスが可能になったため、キャラクター制作パイプラインの用途に応じたカスタマイズや拡張も自由自在です。
なお、ツールはローカルで動作しますが、自動リギングやテクスチャ生成にはインターネット接続が必要です。クラウド サービスとの連携により、ローカル編集の体験がさらに高品質に保たれています。
新しいパラメトリック ボディ システム
これまで直感的な操作で高い評価を得ていた MetaHuman Creator の顔の造形ツールが、ついにボディの編集機能にも対応しました。新たに導入されたパラメトリック ボディ システムでは、現実のスキャン データをもとに、ほぼ無限とも言える自然な体型バリエーションを生成可能です。顔と同様に、スカルプトやブレンドによる調整も行えます。
さらに、身長、胸囲、ウエスト、脚の長さなど、各部位の数値を個別に調整および制限できます。したがって、オンライン ファッションの試着シミュレーションなど、特定の用途に合わせた体型の MetaHuman も簡単に作成できます。
新しい UE コスチューム アセット
現実の人間と同じように、MetaHuman にも服は必要です。そして、選択肢が多ければ多いほど、その可能性も広がります。このたび、新たに登場した Unreal Engine のコスチューム アセットを使えば、DCC アプリケーションで制作したリアルなメッシュ ベースの衣装を MetaHuman 用に組み込めるようになりました。
この機能により、衣類やアクセサリーなど複数のアイテムを組み合わせて、1 つの統合コスチューム アセットとして管理できます。さまざまな体型にフィットするように衣装アセットをあらかじめ調整しておくことで、キャラクターごとの体型に合わせて自動でリサイズされ、自然な見た目を実現します。
作成した衣装は MetaHuman 形式としてパッケージ化でき、Fab マーケットプレイスやサードパーティのマーケットで販売や購入が可能です。これにより、すぐに使える MetaHuman 用衣装の選択肢が大きく広がります。
ビジュアルのリアリズムがさらに向上
MetaHuman の目標は、かつてないほどのリアリズムと忠実度を提供することです。そのために私たちは、常に改良を重ねています。
今回、実在人物のスキャン データに基づく MetaHuman データベースが大幅に拡充され、キャラクターのメッシュ形状やテクスチャのバリエーションがより豊かになりました。さらに、スキャン データの取得と処理方法にも改良が加えられ、肌のシミや細かな質感など、本物らしいディテールがより正確に再現されるようになっています。
その結果、よりリアルな顔のテクスチャが実現し、多様性に富んだキャラクターを MetaHuman Creator で簡単に作成できるようになりました。また、Mesh to MetaHuman を使えば、インポートしたメッシュやキャプチャ映像との一致度がこれまで以上に向上し、忠実なキャラクター再現が可能です。
MetaHuman Animator
高精度なリアルタイム アニメーションが、Web カメラやスマートフォンからも可能に
MetaHuman Animator により、一般的な Web カメラや多くのスマートフォンなどのモノカメラで俳優のパフォーマンスをキャプチャし、Unreal Engine 上でリアルタイムに MetaHuman をアニメートできるようになりました。これまでのキャプチャはステレオ式の HMC や iPhone に限定されていましたが、Unreal Engine の LiveLink に対応するカメラであれば、Android スマートフォンを含む幅広いデバイスに対応するようになりました。
本当にリアルタイムで動くのか、まだ信じられない方もご安心ください。本当に本当です。ライブ パフォーマンスや撮影現場での即時プレビューなど、リアルタイム アニメーションが役立つあらゆる場面でご活用いただけます。もちろん、プロジェクトに応じてオフライン処理を選択することも可能です。
音声主導のアニメーションがさらに進化
それだけではありません。音声のみからリアルタイムでアニメーションを生成することも可能になり、ライブ パフォーマンスの表現がこれまで以上に手軽に行えるようになりました。
さらに MetaHuman Animator は、話し手の音声から感情を読み取り、より自然で感情豊かなアニメーションを生成できるようになっています。手動で感情表現を調整することも可能で、シーンや用途に応じた MetaHuman の演技をより柔軟にコントロールできます。
また、音声ベースのアニメーションに自然な頭部の動きも加わることで、初期状態でもよりリアルな結果が得られます。
MetaHuman 5.6 と新しいウェブサイトを、ぜひお楽しみください。皆さんのプロジェクトで MetaHuman が活躍するのを楽しみにしています。